コーポレートブログ

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ブランドの誇りを胸に大型トレーラーを操るドライバー。
壁を乗り越えるアクションが職場全体を変えた

2023年8月17日

日々、当社の営業地域1都2府35県各地へコカ·コーラ社製品を届けている当社の車両。その中でも工場から倉庫などへの一次輸送を担う「プライベートフリート」(自社便)では、最大積載量26トン、全長約17メートルにもおよぶ大型トレーラーが稼働しています。

田中智捺(SCM本部 東日本輸送管理課)は、この大型トレーラーを操るドライバーのひとりです。東日本エリアを担当するドライバーとして活躍し、かつては男性ばかりの職場だった現場の風土に大きな変化をもたらしました。ドライバーとはまったく別の所属で入社した田中ですが、今では「『コカ·コーラ』の看板を背負って走ることが誇り」と話します。

なぜ田中はドライバーの道を目指したのか。新しい挑戦の中でどのような壁にぶつかり、乗り越えてきたのか。田中の存在によって変わった職場の反応も交えて紹介します。

■ 車庫の代表として「ドライバー選手権」第1位に輝く

当社の物流網を支える最大積載量26トン全長約17メートルの大型トレーラー。各工場から倉庫などへの基幹となる運送を担い、コカ·コーラ社製品の流通を支える存在です。

その運転の難度は普通車とは比べものになりません。「常に油断することなく、一つひとつの運転操作に集中しています」と田中は話します。

「特に気を付けているのは大型トラック特有のオーバーハングです。オーバーハングとは、車体のタイヤの中心から外側にはみ出した部分のこと。全長の長いトラックの場合は、右左折の際にオーバーハングによって車体が反対車線にはみ出してしまうこともあり、細心の注意を払わなければいけません。巨大で目立つ車両を運転している分だけ、大きな責任を感じています」(田中、以下同)

そんな田中は、当社の中でもハイレベルな技術力と知識を持つドライバーとして知られています。2022年に始まったドライバーの技能を競う社内コンテスト「ドライバー選手権」において、増トン部門(大型部門)の第1位に輝いたからです。

ドライバー選手権には、各車庫から部門ごとに1名の代表が出場。田中は無事故・無違反の実績や仕事へのスタンスが評価され、所属車庫に在籍する約50人のドライバーの代表に選ばれました。

「本番では決められたコースを走ったり、冬場を想定してタイヤチェーン脱着の正確性を競ったり、筆記試験に挑んだり。『出場するからには1位になりたい!』と思って、空き時間を見つけては練習や勉強に励みました」

人一倍強い安全意識は日頃の業務でも遺憾なく発揮されています。乗用車と比べて制動距離が長く、不測の事態に対応しづらい大型車では、危険予測運転を徹底しなければなりません。当社では自車や周囲の状況を声に出すことで安全意識を高める「コメンタリー運転」をドライバー教育に取り入れています。田中も「歩行者注意」「信号注意」といった形で運転中に声を出し続け、危険予測のレベルを高めています。

■ やっぱりあの車に乗りたい! 抑えきれなかった大型ドライバーへの憧れ

当社グループ会社のFVジャパン株式会社に入社した田中は当時、カップ用の自動販売機の営業を担当しており、大型トレーラーのドライバーとは全く違う分野で働いていたのです。

「車の運転は大好きなんです。車好きの親の影響で私も車にハマり、プライベートでは長距離ドライブも苦になりません。そんな自分なので『もしかするとドライバーに向いているのかも』と考えていました。未経験の仕事へチャレンジすることには不安もありましたが、最終的には不安よりも興味が勝って、挑戦することにしたんです」

時折、街で見かける「女性の大型ドライバー」に強い憧れを抱いていたという田中。最初は2トントラックに乗っていましたが、車庫に入る大型トレーラーを見て、「やっぱりあの車に乗りたい!」という気持ちを抑えられなくなっていきました。

自ら手を挙げて部署異動をしたことに加え、大型ドライバーへの挑戦を表明し、業務と並行して約半年で大型免許と牽引(けんいん)免許を取得。晴れて大型トレーラーの運転席に座れるようになってからは、車体感覚をつかみ、安全に運行できるよう猛練習を重ねました。

当初は運転に必死だったためか、「荷物の確認不足で交代ドライバーに迷惑をかけたこともある」と打ち明けます。

「車庫に戻り、荷物チェックをしたところ、倉庫での仕分けミスによる配送エラーに気付いたことがありました。私自身も荷積み時の確認が不足していたんです。このミスのリカバリーのため、私の後に走るドライバーさんに負担をかけることになってしまいました。運転はもちろん、荷積みなどの全ての業務で確認を徹底することの大切さを学びました」

■ 「理解されにくい苦労」を乗り越えたアクション

順風満帆に目標をかなえていったかのように見える田中ですが、異動当初は戸惑う場面も少なくなかったそうです。所属している車庫では田中が唯一の女性ドライバー。それまで男性ばかりの職場だった現場では、他のドライバーには理解されにくい苦労もありました。

「大型トレーラーのドライバーは手積み・手降ろしをすることはありませんが、パレットの間に挟む緩衝材など、それなりに重量のある備品を取り扱います。私の身長と同じくらいの高さの場所に載せなければいけないこともあり、コツをつかむまでは大変でした。ほとんどのドライバーは私より背が高いので、『緩衝材を載せること自体に苦労する』とは考えもしなかったのかもしれません」

どうしても体格差があるため、田中目線での苦労に共感してくれる人がいない——。そんな状況で田中が取った行動は、自分が感じている大変さを率直に周囲に話すことでした。

「自分から話さなければ状況を理解してもらえません。だから、とにかくいろいろな人に『こんな場面ではどうしたらいいですか?』と質問していましたね。上司や同僚は私がぶつかっている壁を知ると、業務環境や手順の見直しをすぐに着手してくれました。結果的に、性別に関わらず誰もが働きやすい職場をつくることにつながっていったのではないかと思います」

田中のアクションは、やがて職場全体にポジティブな影響を与えることになります。田中が所属する部署の管理職のひとりは、田中が配属されたことで「車庫全体の風土が変わった」と振り返り、このように語りました。

「田中だけでなく他のドライバーも、意見や悩みを率直に共有するようになったのです。私もそうした会話に参加して、職場環境改善につながるヒントをもらっています。今では他の車庫や他部門からも『雰囲気が良くなった』と評価してもらえるようになりました。今後も田中をはじめ、メンバーと一緒にドライバーが活躍しやすい環境づくりを進めていきたいと考えています」

■ ドライバーに憧れる女性たちが一歩を踏み出すきっかけになりたい

「『コカ·コーラ』のロゴマークが目立つ大型トレーラーを運転していると、道行く子どもたちが手を振ってくれることもあります。たくさんの人に愛される『コカ·コーラ』の看板を背負っていることに誇りを感じます」

現在のやりがいを田中はそう語りました。クリスマスシーズンになると大型トレーラーもクリスマス仕様の特別ラッピングをまとい、田中はサンタクロースの帽子をかぶって運転します。

「誰かに指示されたわけではなく、ドライバー一人ひとりが『コカ·コーラ』ブランドへの愛を持って行動している職場です。私は本当に良い上司や同僚に恵まれていると思います」

そして田中の存在は今、後輩ドライバーたちのロールモデルになりつつあります。

「運送業界はまだまだ女性が少なく、女性には難しい仕事だというイメージも根強いのではないでしょうか。だけど私のように、ドライバーの仕事に憧れや興味を抱いている女性も少なくないはず。そんな女性たちが一歩を踏み出すきっかけになれたらいいな、と思っています。

後輩ドライバーとの会話では、日頃大変だと感じていることや困っていることなどに耳を傾けています。誰かにとって当たり前にできることでも、ほかの誰かにとっては思わぬところで苦労しているかもしれません。そうした際には私も同じ目線で考え、時には先輩や運行管理者に相談しながら問題を解決できるようにしています」

今後の目標は「ドライバーとしての運転技術を高め続けていくこと」「周囲からの期待やサポートを裏切らないように無事故・無違反を続けていくこと」だと話す田中。『コカ·コーラ』ブランドへの思い、ドライバーという職業への誇りを胸に、田中が当社の安全運行を支えるスペシャリストとなる日も遠くないのかもしれません。

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