コーポレートブログ

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多様な個人が、ただそこに存在できる組織へ。 有志のDE&I推進チーム「彩」に込めた思い

2023年10月4日

当社では、多様な人財が互いを受け入れて生かし合い、新しい視点や価値観を構築することで持続可能な成長を達成したいと考えています。この理想に共感する社員たちの有志の取り組みとして生まれたのが、「ダイバーシティ、エクイティー&インクルージョン(以下、DE&I)推進チームの『彩』(いろどり)」。2020年の設立以来、DE&Iについて考える社員座談会やワークショップ、社内アワードの立ち上げなど、多岐にわたる活動を進めています。

今回の記事では、新卒入社時から「彩」の事務局メンバーとして活動する小関櫻子にインタビュー。社内にさまざまな影響を与える「彩」の取り組みや、DE&Iを推進することへの思いを語ってもらいました。

■ 草の根活動で「どんな属性の人でも働きやすい職場」を目指す

「入社当時の私にとって、『彩』は与えられた業務のうちのひとつ。先輩社員からの指示を受けてミーティングを設定したり、イベントの準備をしたりと、とにかく目の前の仕事をこなすことで精一杯でした」(小関、以下同)

小関は「彩」の活動に加わった頃をそう振り返ります。

社員による社員のための活動を目指して2020年に立ち上がった「彩」では、1年間の任期で有志メンバーが活動。小関が所属するチームはDE&I関連のミッションを担っており、「彩」の事務局として有志メンバーを支えることも主要な業務でした。

「社内向けのアンケートを実施したり、女性活躍を考える座談会を開催したり。どんな属性の人でも働きやすいと感じられる職場をつくるためには、トップダウンで号令するだけでなく、こうした草の根の活動を続けていくことが重要なのだと思います。私自身も『彩』が開催するイベントに関わって考え方が変わりました」

そのイベントとは、社内外の経営層を招いて開催されたキャリアセッション。小関は事前の登壇者向け説明会を担当するなどして準備に尽力したといいます。そして当日のパネルディスカッションでは、20代・30代の「キャリア形成」や「強み」のつくり方をテーマに議論が交わされ、小関自身も大いに刺激を受ける場となったのでした。

■ 高まるDE&Iへの関心。若手や女性だけでなく、男性社員も参加

「彩」が目指すのは、社員それぞれが自分ごととしてDE&Iを考えられる職場をつくること。そのため「女性管理職×一般職男性で育児休業について議論」「社内であまり認知されていない『従業員が使ってよかった制度』を公募し、制度活用者へインタビュー」など、社員にとって身近なテーマを取り上げてイベントを開催しています。

「こうした活動をきっかけに、育休を取得したり時短勤務を経験したりした社員が『彩』の活動に興味を持ち、有志メンバーとして新たに参加してくれるようにもなりました。普段からDE&Iに関心のあった社員が、それぞれの経験を生かすために集まってくれているんです」

有志で参加しているのは若手や女性だけではありません。「彩」の活動には男性社員も加わっています。当社が組織戦略として女性管理職登用を進めるなか、「その背景であるDE&Iの考え方についてより深く知っておきたい」「DE&Iが組織にどのような好影響をもたらすのかを追求したい」という動機を抱くようになったといいます。

そして2023年度、現在は9名のメンバーが集結。それぞれが所属部署の仕事にまい進しつつ、上長の許可のもと、業務時間内に「彩」の活動を進めています。

「みんな本業があるなかで活動しているため、互いに助け合いながら活動しています。全社的な繁忙期には活動が滞りがちになることもありますが、継続的に社内の興味・関心を喚起できるよう、情報発信だけにとどまらないリアルな議論の場づくりを進めていきたいですね。私は事務局メンバーとして一つひとつの施策の進捗を見守りながら、有志メンバーの背中を押していきたいと考えています」

■ 高まるDE&人は生まれながらにして多様なのに、なぜ組織では画一性を求められるのか?

当初は業務の一環として「彩」を冷静に捉えていた小関は、なぜここまで活動に力を入れるようになったのでしょうか。自分自身の原点を振り返りながら、小関は「子どもの頃から組織内で個人の自由が制限されることに違和感を持っていた」と話します。

人は生まれながらにして多様なのに、組織に加わると画一性を求められるのはどうしてなのか——。そんな漠然とした疑問を抱いたまま大学へ進学し、親元を離れて寮生活を経験。ここでの日々が小関に新しい視点をもたらすこととなります。

「住んでいたのは伝統ある学生寮で、築60年の物件にさまざまなバックグラウンドを持つ学生が集まっていました。自治寮なので運営主体も学生自身。ここで私は、それまでの人生で出会ったことのないタイプの人たちと共同生活を送ることになりました。

共同生活の日々のなかでは考えの対立や衝突に遭遇することもしばしば。それでも粘り強く人付き合いを続けていると、全く異なる個性を持つ人間同士が良好な関係を築き、互いを認め合いながら暮らせるようになったんです。この経験から私は、組織運営や人事の仕事に興味を持つようになりました」

就職活動が始まると、小関は総合職ではなく「人事ポジションで入社できる会社」に的を絞って選考に参加。その過程で出会ったのがコカ・コーラ ボトラーズジャパンでした。

「当社は複数の企業が統合して生まれ、変革期の真っただ中にあります。製造や物流、営業、バックオフィスなど多岐にわたる部門があることに加え、外国籍の経営陣やキャリア採用で入社する人も多く、メンバーのバックグラウンドが本当に豊かなんです。そんな環境に身を置けることも志望動機のひとつとなりましたね」

■ 一人ひとりがただそこに存在し、互いを認め合える組織へ

「彩」の活動をきっかけにして、コカ・コーラ ボトラーズジャパングループは徐々に変わりつつあります。小関は「『彩』の認知度が高まると同時に、DE&Iへの興味・関心も高まってきていると感じる」と手応えを話しました。アンケートでは、「彩」メンバーへの応援の声も多数届いているといいます。

「製造業である当社には、かつて男性ばかりの職場だった歴史があり、そのカルチャーがまだ残っていると思います。その現状があるからこそ、『彩』に期待してくれる人が多いのかもしれません。現状の『彩』はひとつの事業部内での取り組みですが、今後はこれを全社的に広げていくことにも挑みたいと思っています。各事業部でもイントラネットでDE&Iについて情報発信していますが、予算がなかったり、本業が忙しかったりして動けていないケースが多いのも事実。そうした点と点をつなげ、全社をポジティブな雰囲気で巻き込んでいきたいですね」

同時に、「彩」を持続可能な取り組みにすることも重要な課題だと小関は話します。本業の忙しさに紛れてプロジェクトが立ち消えていかないように、ビジョンや計画を見つめ直さなければいけないのだと。これは、上層部からの指示を受けて動くわけではない有志活動だからこその課題なのかもしれません。

改めて、小関は今、DE&Iの重要性や意義をどのように捉えているのでしょうか。

「私が思い描く理想の組織は『街にある昔ながらのリサイクルショップ』のようなあり方です。特定のジャンルにこだわらず、ラベル分けをすることもなく、さまざまなアイテムがただそこに存在している。ジャンル分けをしないから枠からはみ出るアイテムもないし、差別的な扱いを受けることもない。

企業も同じようなあり方を目指すべきではないでしょうか。一人ひとりがただそこに存在し、互いを認め合える。そんな組織になれたら素敵だと思いませんか?」

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